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執筆者の写真三橋美穂

174. 存在の界の移行

(2023/05/01)



前回のテーマ「臨死共有体験」について知識を深めたいと思って、書籍を読みました。


『永遠の別世界をかいま見る 臨死共有体験』


著者のレイモンド・ムーディー氏は医学・哲学博士で、臨死体験について著した『かいまみた死後の世界』は、かつて全世界で1400万部のベストセラーになりました。



臨死体験は主観的な現象です。そのため多数の事例から共通要素を見い出し研究発表したところ、「死の際の脳内現象にすぎない」とアカデミアから否定されたそうです。酸欠状態におかれた脳の幻覚、麻酔の過剰投与などによるものだと反論されたのです。



『かいまみた死後の世界』を発売後、臨死体験だけでなく、亡くなる人の臨死体験を共有した事例が寄せられ始めました。これは健康な人に起こる体験なので、受け入れない言い訳ができません。



臨死共有体験をした人は皆、別次元での体験のため、この世の言葉で表現することは難しいと言うそうです。そんな中、ムーディ博士は体験者には7つの共通要素があることを見い出しました。



1、空間が変容して見える

 別次元の扉が開いた、時間のない世界への扉が開いたと感じる。


2、神秘的な光を見る

 水晶のような光、人の知恵と霊的成長を促す光、愛と平安を発する光、天使的な光などと形容される。


3、美しい音楽が聞こえる

 これまでに聞いたことがないほど非常に美しく、巧みなもので、音色の一つひとつが見えるよう。


4、体外離脱する

 空中で会う死者は幸福な表情をしており、存在の次の段階への期待で喜んでいる。


5、人生回顧を死者と共にする

 地上で歩んできた人生を、パノラマを見るように共に回顧する。知恵の面で100年分成長したように感じ、他者を愛し仕えつつ人生を歩むのが、自分の 務めだと思うようになる。


6、天的領域に入る

 非常に明るい光のトンネルを抜けると、この上なく美しい光景に出会う。空は透き通る青さで、完璧なまでの草花と色彩。景色の背後から聞こえる音楽は澄んでいて深く、耳からではなく別の方法で自分の内に入ってくる。


7、遺体から上がる霧のようなものを見る

 生きたエネルギーが脈打っていて、永遠を垣間見させてくれる。死者の周囲に神聖な存在を感じる。



これら7つのうち複数を体験するそうです。すべてを体験する人はおらず、1つだけという人もいないとのこと。具体的な体験談をいくつか紹介します。



男性医師が病床の母親に付き添っていたとき、母が光に包まれ肉体を離れて上方へ行き、視界から消えた。その旅立ちの姿を見たとき、母の死のショックは大きな喜びへと変えられた。母は別のところへ行ったことが、はっきりとわかった。



ニューヨーク在住の女性が母親と一緒に体外離脱をして人生回顧をしていたときに、7年前に79歳で亡くなった父親がベッドの脇に立って迎えに来ているのが見えた。彼の存在すべてに輝きと活気がみなぎっていて、若者のように見えた。両親から大きな優しさを感じ、体験した出来事すべてが愛と親密さであふれていた。



臨死共有体験(≒臨死体験)はあまりにリアルで、地上世界は私たちの想像の産物で、虚構にすぎないのだと思うそうです。肉体に戻ってきたことは「まるでスラム街」と言った人もいたそうです。



詩人のカール・スカラは第二次世界大戦中に、戦死した兵士と共に天へ上げられていく体験をしたそうです。彼を有名にした詩は同志との臨死共有体験を綴ったもので、最後はこう結ばれています。



「死とは目覚めだ」



本を読みながら死への漠然とした恐怖が薄れ、楽しみな体験へと変化し、自分自身が癒されていくのがわかりました。



そして、死について探求しながら、掴んだことがあります。

死の表現には、死去、死亡、逝去、永眠などありますが、「死とは他界である」と。

地上の界と天的領域の界面の扉が開いて、自己(魂)が存在する界(ゾーン)が高き次元へ移行することが肉体の死であることを。



こう考えると、睡眠もゾーンの移行といえるかもしれません。

覚醒中の意識のゾーンから、睡眠中の無意識のゾーンへ。



移行をスムーズにするのは、安心、落ち着き、ゆったりとした呼吸、リラックス。

睡眠は、日常生活における天的領域かもしれませんね!



このコラムを読んで、臨死共有体験をしてみたいと思った人もいると思います。体験者に共通していることは、逝去者に対して深い愛情を持っていることと、愛する人が死ぬことを受け入れていることです。



死の受け入れは、あきらめとは違います。心の強さがあって初めて可能になるものです。死を受け入れる境地に達することにより、神聖なエネルギーが解放される、とムーディ博士。



メンタルを整え、心を強くするのは睡眠です。睡眠という日々の天的領域を大切にしながら、そのゾーンの移行の体験を楽しみに過ごしましょう。

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