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執筆者の写真三橋美穂

167. 眠れないときの“思考妨害法”

(2022/10/01)



ニフティが運営する子ども向けサイト「ニフティキッズ」で、小中学生の睡眠に関するアンケート調査が行われました。その結果のトピックスを紹介します。



<平日の睡眠時間>

【小学生】

夜10時ごろ就寝する人が最も多く、睡眠時間は7~9時間が72%。

5時間以下が8%のほか、10時間以上も4%いました。


【中学生】

夜11時ごろ就寝する人が最も多く、睡眠時間は6~8時間が72%。

5時間以下が16%に増え、10時間以上は2%となっています。

小学生と比べて1時間短くなっている様子がうかがえます。



<睡眠時間は足りているか?>

小学生で「足りていない」人は48%、中学生では63%の人が該当しました。


足りていない理由は、

・家での勉強に時間がかかる(55%)

・YouTubeなどの動画を見ている(41%)

・塾で帰りが遅い(26%)

・習いごとで帰りが遅い(20%)

・夜遅くまでゲームをしている(18%)



このあたりまでは予想の範囲内でしたが、驚いたのは布団に入ってもすぐに眠れない人が84%もいたことです。


・すぐ眠れる(14%)

・たまになかなか眠れない(43%)

・いつもなかなか眠れない(41%)

・その他(2%)



調査時期が暑い盛りだったこともあるので、「たまに眠れない」は暑さの影響としても、「いつも眠れない」が4割を超えるのは異常なことです。



成人でも不眠症状がある人は約3割です。「寝る子は育つ」「子どもはよく寝るもの」という認識は、現代においては違うのかもしれないと、ハッとさせられました。



眠れない理由として考えられることは、大きく分けて2つあります。


1、ブルーライトによるメラトニン(睡眠ホルモン)抑制

 部屋や塾教室で夜間に明るい光を浴び続けたり、ゲームやスマホのディスプレーから発せられる光は、体内時計を後退させてメラトニンの分泌が減少します。就寝2時間前からは強い光を避け、照度を落とすことが大切。


2、勉強やゲームなどによる交感神経の活性化

 常に脳をフル回転しながら、競争にさらされている子どもたち。外遊びが減って体の活動量が低下していることも、自律神経の乱れにつながっていると考えられます。



そして、布団に入ってから眠るまでの間にしていることは、「考えごと」が60%。考えごとが続くと脳の温度が下がらないので、眠れなくなります。



思考の連鎖を止めることが大切ですが、「考えないようにしよう、考えないようにしよう」と考えていると、よけいに緊張して眠りから遠ざかります。



そんなときは、無意味なことで頭の中をいっぱいにしましょう。これを“思考妨害法”といい、このコツを身につけるといつの間にか眠ってしまいます。2つの方法を紹介しますので、試してみてください。



【1】認知シャッフル睡眠法

脈絡のない言葉とイメージで、脳の論理的な活動を停止させ、入眠しやすくする方法。


・まず、簡単な言葉を選ぶ。例えば「ひつじ」とします。


・選んだ単語の1文字目「ひ」から始まる言葉を思い浮かべてイメージする。「ひらめ」「ひまわり」「ひとりっ子」「日傘」・・・


・「ひ」から始まる言葉が思いつかなくなったら、2文字目「つ」から始まる言葉を思い浮かべてイメージする。


・最初の単語で眠れなければ、別の単語で同様に繰り返す。


自分でコツがつかめなければ、言葉を読み上げてくれるYouTubeやスマホアプリもあります。「シャッフル睡眠法」で検索して、活用してみてください。



【2】カウントダウン法

頭の中でゆっくりと、「数字を100から1つずつ減らしながら数えていく」ただそれだけです。


カウントアップは簡単なので、500、1000と数字が増えていくと、「いつまで続くのだろう」と不安や緊張が高まるので逆効果。思考が浮かびやすいのです。


カウントダウンは少し集中力がいるので、雑念が入り込む余地がなく、単調な作業が退屈になってきて、いつの間にか眠ってしまいます。


もし途中でいくつまで数えていたのか忘れてしまったら、100に戻って数えなおしてください。



時に眠れないことは誰にでもあるもの。そんなときに、ぜひ活用してみてください。



本当はこのような対処療法ではなく、すべての人が、とくに育ち盛りの子どもたちが、暮らしやすく生きやすい、優しい社会に変わっていく必要があると思っています。



時代の転換期の今、人々の意識は変化しているのに、社会構造が古いままなので、私たちは苦しいのです。

「そういえば昔、眠れなくて困っていろいろ試したなぁ~」

そう懐かしむ日が、早く訪れることを願っています。

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