(2022/07/01)
今年は6月から記録的な暑さが続いています。 夜間熱中症で搬送される人も多く、睡眠中にエアコンを適切に使うことが大切です。
体が冷えることを嫌ってエアコンの「除湿」モードを使う人がいますが、「除湿」は温度がそれほど高くないけれど湿度が高いときに使うもの。つまり梅雨時です。「冷房」は温度が下がるのはもちろん、実は湿度は「除湿」より下がります。湿度が下がれば汗が蒸発しやすくなるので、熟睡に必要な深部体温(体の内部の温度)の低下がスムーズになります。
冷えない除湿として人気がある「再熱除湿」は、冷房運転でしっかり除湿しつつ、部分的に暖房運転を行うことで室温低下を 防ぐという仕組みです。とても電気代が高いので、夏は「冷房」を使うのが正解です。
では、冷房の温度は何度にすべきでしょうか。 一番重要なのは、寝ている場所の温度が28℃を超えないように、枕元に温度計を置いて確認することです。29℃まではギリギリ眠れる温度ですが、熱中症リスクを考えると、28℃以下に保つほうがよいでしょう。
「枕元に温度計を置いて」としたのは、リモコンの設定温度と寝ている場所の実際の温度は、一致しないことが多いからです。私の寝室の場合、設定温度が30℃のとき、枕元の温度は約28℃になります。エアコンがオーバースペックだったのかもしれません。
熱帯夜は朝まで冷房をつけっぱなしにするのもポイントです。冷房がタイマーで切れると、壁や天井にこもった熱(輻射熱)で室内の温度が上昇し、寝室が28℃を超える危険性があるからです。
28℃以下で自分が快適なら、室温は何度でも構いません。例えば、ものすごく暑がりで23℃で半袖半ズボン&タオルケットで快適なら、それでOK。ギンギンに冷やして冬布団を掛けて寝るのが快適なら、それもOK(エコではないけれど)
一番よくないのは、冷房が苦手だからと薄着になって扇風機だけでしのごうとしたり、タイマーで切れるようにすること。暑くなって目が覚めて、睡眠の質を落としたり、熱中症になるリスクが高くなるからです。
冷房が苦手な人は「つけっぱなしにすると体がだるくなるから」といいますが、その原因は「寝冷え」。冷房を使いながら、体を冷やさないようにすることが熱帯夜のポイントです。
まずパジャマを長袖・長ズボンにして、冷気が体に直接当たらないようにしましょう。場合によっては、肌着や腹巻、レッグウォーマーなども着用してください。(上着は半袖のほうが快適なら、それでOK)
着衣で体に冷気が当たらない状態をつくり、タオルケットや肌掛け布団をかけ、それにちょうどいい温度にエアコンを設定します。人によって快適な温度には差がありますし、使う寝具やパジャマの保温性によっても変わりますが、26~28℃が目安です。(省エネに配慮しつつ、多くの人が快適に眠れる温度)
しっかり着ると身体周りの空間の温度が安定するので、朝までぐっすり眠れます。上掛けをタオルケットにして28℃、肌掛け布団で26℃など、いろいろな組み合わせを試して、自分のベストを見つけてください。
電気料金が高騰している今年は、設定温度を高めにして節電したいと思う人も多いでしょう。これは寝具とパジャマの工夫で対策できます。
寝具の中で、一番重要なのは「敷きパッド」。マットレスに背中が密着すると、徐々に暑くなって目が覚めるからです。通気性の高いファイバー素材や、硬めの敷きパッドを使うと体との間にすき間ができて、設定温度を高くできます。
さらに快適性を高めるために、敷きパッドの上に麻のシーツを掛けるのがおすすめです。麻は吸湿性がよいうえ、熱伝導率が高いので、ひんやりとした涼感が得られます。
パジャマは袖や裾、胸元がゆったり広がっていると放熱しやすくなります。私が愛用しているのは、自分でプロデュースしたストレッチ性のあるガーゼパジャマです。
以前は冬のパジャマを着て26℃で寝ていましたが、今年はこのパジャマで28℃にしています。寝具は高通気敷きパッドの上に麻のシーツを敷いて、綿毛布をかけています。
最後に、もう一つ。冷房は2段階で設定するのがおすすめです。就寝30分前からスイッチを入れ、ひんやりと気持ちがいい温度(25~26℃くらい)に寝室を冷やしておきます。そして就寝時に、設定温度を上げましょう。体温が高い入眠時は、室温が低めの方が寝つきがよくなります。そして寝入って急激に体温が下がった頃に、室温が上がっていると寝冷えを防ぐことができるからです。
リモコンに「ねむりモード」「快眠モード」等のスイッチがある場合、上記の温度変化を自動で行ってくれます。
昭和の時代は今ほど暑くなく、暑ければ薄着&扇風機で乗り切ることができました。今は冷房を使うことを前提にして、体を冷やさない工夫をすることが大切です。睡眠環境を整えて、暑い夏を乗り切っていきましょう。
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