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執筆者の写真三橋美穂

159. 人とつながる、自然とつながる

(2022/02/01)



先日、自然農を実践する元看護士の女性の話を聞きました。

彼女が病院に勤務していた時、不眠に悩んでいる入院中の80代の女性がいたそうです。



睡眠薬を変えたり、体を動かしたり、排せつを整えたり、あらゆる対策を施しても、不眠は改善されませんでした。お手上げ状態で途方に暮れていた時、手を握って、背中をさすってトントンしたら、一瞬で眠りに落ちて驚いた、そんなエピソードを語ってくれました。



人が根源的に欲しているのは、つながりや安心、癒し。それを大切にする医療や暮らし方が、必要とされている時代だと感じます。とくにコロナ禍で人とのつながりが感じにくい今、私たちはどう生きていったらいいのでしょうか。



みなさんは「自然欠乏症候群」という言葉をご存知ですか?

自然からかけ離れた都市型のライフスタイルによって、本来備え持つ感覚や能力が低下し、不眠や慢性疲労、注意力散漫、憂うつなど、理由のはっきりしない不調が起こることをいいます。



私も自宅マンションを見渡すと、床は合板、壁はビニールクロス、パソコンやテレビ、空気清浄機、エアコンなど、人工的なものに囲まれています。そして窓の外に見えるのはビル群です。



コロナ禍での憩いのひと時は、ベランダガーデニング。今はイチゴを育てていて、葉の裏側についたアブラムシを定期的にテープで駆除しています。これに集中していると「無」になれるので、いいリフレッシュになっています。手塩にかけて育てたイチゴを初収穫したときは、甘くて瑞々しくて、何ともいえない満足感がありました。



自然とのつながりを感じられると人は癒され、睡眠にもよい影響をもたらします。自然に触れるとフィトンチッドがNK細胞を活性化して自律神経が整い、睡眠障害、消化器症状、精神状態が改善しやすいことがわかっています。



昨年、奥多摩の森林セラピーに参加した日は、森の中を歩いているだけで開放感があって気持ちよく、自然に呼吸が深くなり、その日の夜はぐっすり眠れたことを思い出します。



自然の中で体を動かす「グリーンエクササイズ」も注目されていて、5分で気持ちが前向きになるという研究結果が報告されています。とくに水辺でのエクササイズはより高い効果を発揮し、エクササイズの種類よる有意差は見らなかったそうです。ウォーキングやサイクリング、ガーデニング、公園で深呼吸など、取り入れやすい方法で始めてみてください。



家の中で自然を感じる方法としては、

・季節の食材

・天然素材の衣類や寝具、家具

・自然素材の住宅

・合成香料ではなく天然アロマ

・スマホやPCに接する時間を減らす など



自然を意識した生活を取り入れたり、たまにはマッサージやアロマトリートメントなど、人の手を借りて癒しの時間をつくってみませんか。



究極的には、人々がつながりあって助け合う、優しい社会に変化していくことを願っています。

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