(2021/12/01)
「部屋が寒ければ、布団をたくさん掛けて寝ればいい」
そう思っていませんか?
実はこれ、大きな間違いです。
たとえ室温は10℃であっても、寝具やパジャマを工夫して、寝床の中の温度を約33℃に保てれば、眠ることはできます。でも、その温度差は20℃以上! 布団から出たときに血圧が急上昇し、ヒートショックを起こす危険性があるのです。
それだけではなく、冷たい空気を吸い続けることで、肺が冷えて機能低下を引き起こします。とくに18℃未満は深刻な健康被害が現れる温度。脳卒中や心筋梗塞、肺炎のリスクが高まることが報告されており、WHO(世界保健機関)では室温18℃以上を保つよう強く勧告しています。
産業医科大の調査では、寝室の暖房を使っていない家庭の子どもは、冬場に3回以上風邪をひくリスクが4倍、インフルエンザは2倍になると報告されています。
暖かい寝室で眠ることがいかに大切か、ご理解いただけたでしょうか。
私は昨年まで、エアコンの暖房を20℃に設定して一晩中つけていましたが、まだ今年は使っていません。その理由は、内窓を設置したからです。
内窓とは、既存の窓の内側に、もう一つ窓をつけて二重にすること。冬に部屋の暖かい熱が外に逃げていく原因の約6割は窓にあるので、窓の断熱性を高めるだけで、室内の寒さはグンと和らぎます。
とくにサッシ(窓枠)の素材が重要で、熱を通しにくいのは「樹脂」。環境意識が高いヨーロッパでは樹脂窓が主流ですが、日本は約2割に過ぎません。日本はアルミが主なので、6年前に竣工した自宅マンションもアルミサッシでした。
真冬の最低室温は17℃程度だったので、すごく寒いわけではありませんが、内窓の効果は想像以上でした! 樹脂窓を取り付けたことで、窓際で冷やされた空気が壁から床に伝わってくる「コールドドラフト現象」が大きく緩和され、足元がひんやりする不快感が激減しました。樹脂とアルミでは、熱伝導率が約2000倍も異なるからです。
内窓を開けると、窓と窓の間にたまっているヒヤ~ッとした冷たい空気が、室内に流れ込んでくるのがわかります。内窓のおかげで、これをシャットアウトできているのかと思うと、取り付けてよかったと心から思います。
設置する前は、こんな不安もありました。
・窓の開け閉めが面倒
・部屋の圧迫感があるのでは
・窓の掃除が大変
大いなるメリットと比較すれば、これらは些細なことでした。
みんなに勧めたいのですが、それなりに初期費用がかかります。窓の大きさや数、使用する窓の品質によって価格は変わり、1戸あたり20~80万円くらいでしょうか。生活ストレスが減り、光熱費が下がり、健康的に過ごせるので、投資効果は十分あると思います。エネルギー使用量が減れば、地球温暖化にも貢献できます。省エネリフォームの補助金制度もあるので、活用してみてください。
ここまで踏み切れない場合は、ポリカーボネート樹脂を使って自分で手作りすれば、1窓あたり数千円で設置できます。YouTubeで「内窓 DIY」で検索してみてください。
私は昨年、ポリカーボネートの内窓を楽天でオーダーして事務所に設置し、内窓の効果を実感しました。これだけでも、ずいぶん寒さが和らいだのです。その体験があったので、家全体に取り付ける行動に踏み出せました。まず1か所、試しにつけてみるといいと思います。
それもハードルが高い場合は、こちらの方法もあります。
・厚手のカーテンを長めにかける
・窓に断熱シートを貼る
・窓下専用のヒーターを置く
そして、暖房も使って室温18℃以上になるように心がけてください。乾燥が気になる場合は、加湿器も併用しましょう。
慶応大学の研究では、暖かい家では入眠がスムーズで、熟睡時間がのび、逆に寒い家では夜間の頻尿リスクが上昇。睡眠の質を高めるためには、寝室だけでなく家全体が暖かいことが重要と報告されています。
窓を断熱して、健康的な暮らしと快眠を手に入れましょう。
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