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執筆者の写真三橋美穂

93. 本物を見分ける目をもつ

(2016/08/01)



この週末、ビッグサイトで開催された【癒しフェア 2016】で快眠セミナーと枕診断を行ってきました。エコロジー・スピリチュアル・オーガニック・ビューティ・ホリスティックがテーマのお店が一堂に集まるので、毎年来場される方も多いようです。

私の目に入ってきたのは、フードコーナーでひときわ目立つ「なかほら牧場」。ソフトクリームやヨーグルトを目当てに並ぶ人たちで、行列ができていました。実は最近、なかほら牧場に見学に行った友人から、話を聞いたところだったのです。30代の彼が、循環型農業の素晴らしさを熱く語ってくれました。

岩手県山上山系にある、なかほら牧場が実践しているのは、植物学者の猶原博士によって提唱された山地(やまち)酪農。その名の通り、山地を活用した放牧酪農です。

日本は国土の約7割を、山間地が占めています。その昔、木材需要を見越して盛んに植林されましたが、現在は荒れ果てて放置された場所が目立つようになりました。こうした山林を酪農の場とすることで、牛が下草を食べ、山を保全することができるのです。

なかほら牧場には牛舎がなく、一年中、山林に放し飼い。受精も分娩も自然にまかせているので、人手がかかりません。自然生息している野芝をエサにしていて、冬季以外はエサ代も不要です。

牛たちは広大な山林を歩いていて健康なので、薬剤やサプリメントも不要。当然、牛乳も美味しくて、山も牛も人間も幸せな、八方よしになる新しい時代の循環型酪農といえるでしょう。

これで生計が成り立つようになったのは、IT企業とコラボして、インターネットでの直販が可能になったからだそうです。誠実な想いと活動が実を結ぶのが容易な時代になり、本物が台頭してきたと感じます。

逆に軸がブレると失敗すると思い知らされたのは、今回の東京都知事選でしょう。野党連合が惨敗したのは、勝てそうな候補者を一斉に担ぎ上げて、選挙に勝つことだけが目的になってしまったからだと思います。都民の暮らしや幸福度を上げていくという、野党連合の軸がしっかりしていたら、これほどの結果にはなっていなかったでしょう。

寝具を選ぶときにも、本物を選ぶ目が必要です。例えば、夏にたくさん出てくる接触冷感生地を使ったクール寝具には、選び方があります。クール敷きパッドの多くは、ポリエステル綿(わた)が薄く入っていて、横たわると綿がつぶれて背中の通気性が悪くなります。冷房をつけないと、背中が蒸し暑くなって、逆に寝苦しくなることもあるのです。

簡単にいえば、柔らかい敷きパッドではなく、ハリのあるものが、夏に向いています。ちなみに私は、3D構造の高通気敷きパッドの上に、麻のシーツを敷いて寝ています。汗を吸い、熱を逃がせる構造にすることがポイントです。

一人ひとりが本物を見る目を養うことが、過剰な消費を減らし、世界を変える力になるのだと思います。モノをたくさん売らなければ、企業が成り立たない現状から、必要な人に必要なものが届く、シンプルな循環型の社会になることを願っています。


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