(2015/11/01)
先日、山梨県の八ヶ岳で2泊3日の快眠ツアーを行ってきました。全国から60~80代の女性が集まって、遠くは山口県からの参加者も。まずは自己紹介と、眠りの悩みを打ち明けるところから始めました。
寝つきの悪さだけはでなく、中途覚醒で悩む方も多く、トイレに起きるとその後1~2時間くらい眠れなくなるという悩みは少なくありませんでした。その原因の多くは、実はトイレや廊下の電気をパチンとつけることです。ただでさえ若い頃と比べると眠りが浅くなっているので、急に明るい光がつくと、脳への刺激が強すぎて、布団に戻っても眠れなくなってしまうのです。
その話を聞いた参加者の一人が、夜中にトイレに起きたとき、スマートフォンの明かりを足元に向けながら歩いていったところ、その後すぐに眠れたと感激していました。真っ暗のままだと危険なので、足元の様子がわかる程度の、ほのかな明かりを取り入れるのがおすすめです。
光の刺激で眠りを浅くするのは、寝室の豆電球も同様です。光源が直接目に入るので、意外とまぶしく、それが睡眠に影響しているのです。
睡眠不足になると食欲ホルモンが増えて太りやすいことがわかっていますが、豆電球を点けて寝ている人は、切っている人と比べて肥満率が約2倍も高いことが示されています。いつもは豆電球を点けて寝ている参加者が、ツアー中に真っ暗で眠ってみたところ、「驚くほど眠りが深く感じられ、こんなにぐっすり眠れたのは、本当に久しぶりです!!」と感激していました。
昼は明るく、夜は暗く、光を上手にコントロールすることが、快眠の秘訣です。とはいっても、真っ暗だと不安で眠れない場合は無理をせず、フットライトなどで間接的にほのかな明かりを取り入れてみてください。
もうひとつ、典型的な例がありました。布団の中にいる時間が長すぎて、睡眠障害が起こっていたのです。事前に睡眠ダイアリーをつけてきてもらったところ、就床が夜8~9時で、起床は7時。実に10時間以上寝床で過ごしていました。その結果、寝つきが悪く、深夜1時頃に中途覚醒、また朝5時頃から目覚めて眠れないと悩んでいたのです。途中で目が覚めたときには、眠剤を飲んでいるとのことでした。
60~70代は6~7時間の睡眠で足りる人が多いので、明らかに寝床に長く居過ぎです。ツアー中は就床時刻が夜10時半以降、朝6時半から早朝ウォーキングをしたので、必然的に寝床にいる時間が短くなりました。その結果、寝つきがよくなり、眠剤も手放すことができました。
その方は、足のケガをしたことで山登りをしなくなってから、眠れなくなったそうですが、一番の問題は、それをきっかけに寝床でダラダラと過ごす時間が長くなったことにあります。 「これからは生活にメリハリをつけて過ごします!」と意欲が湧いて、表情も明るくなった彼女を見て、私もうれしくなりました。
睡眠の質を落とす原因は、意外と単純なことにあります。先日発売になった三橋の著書『脳が若返る快眠の技術』(KADOKAWA)にも詳しく書いていますので、ぜひ読んでみてください。
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