(2015/01/01)
先月、一般社団法人ボディクロック研究会が設立され、私も研究メンバーの一員として、記者発表会に登壇しました。 ボディクロックとは体内時計のこと。現代は生活スタイルの多様化により、ボディクロックが乱れている人たちが増えています。すると昼間の眠気や倦怠感が強くなったり、夜の眠りが浅くなって、パフォーマンスが下がります。
「ボディクロック」をキーワードに、よい睡眠習慣を身につけて、個人のパフォーマンスはもとより、日本全体の活力向上を目指すことが、研究会の設立趣旨です。理事長は久留米大学の教授、内村直尚先生。福岡県の進学校、明善高校の昼寝(午睡)指導の実績で有名な方です。
明善高校では生徒の6割が睡眠不足を訴え、9割弱の生徒が午後の授業中に強い眠気を感じていたことから、昼休みに15分仮眠を提案。2005年から実施し始めると、センター試験の成績が上がったことで注目を集めました。東大をはじめ、京大、大阪大、九州大などの難関大学への進学率が、大幅にアップしたそうです。
昼寝は午後の眠気が改善されるだけでなく、午後の活動量も上がるため、夜の睡眠を深くする効果もあって、睡眠不足の解消にもつながります。さらにスポーツ時の大きなケガが減り、保健室の利用回数も減少。運動能力も向上し、県大会のベスト16以上の出場回数が、実施前後の3年間で比較して、1.6倍に増えたそうです。
昼寝の効果、すごいですね!
昼寝をはじめ、就寝と起床、食事、運動、入浴などを毎日、同じ時刻にすることは、ボディクロックの調整に役立ちます。
また、一番の調整法は、朝の太陽光と朝食です。ボディクロックの中枢は、脳内の視交叉上核にあり、起床後2500ルクス以上の光を浴びることでリセットされます。朝起きたら、窓辺から明るい屋外に目を向けて、脳に光を届けましょう。 さらに全身の細胞や臓器に存在する末梢時計は、朝食をとることで中枢時計に同調し、血圧やホルモン、体温、眠気などのリズムを整えることができます。
そして試験のときに、実力を最大限に発揮するためには、試験開始時刻の3時間前には起床すること。人間は、起床後3時間ほどで脳も身体もフル稼働し始めるからです。午前9時半開始のセンター試験のためには、6時半に起きる生活を、試験日の3カ月以上前から始めましょう。
ボディクロック研究会発 【パフォーマンス向上のための ボディクロックルール】
1、“勉強や仕事開始の3時間前に起床する” ことでボディクロックを朝型に
2、“起床時に朝日を浴びる” ことでボディクロックをリセット
3、“朝食を毎日食べる” ことでボディクロックをスタート
4、“10分程度の昼寝を午後3時までに取る” ことでボディクロックの微調整
5、“平日・休日の起床時間を一定にする” ことでボディクロックのズレ防止
最近の研究では、ボディクロックの長さは個人差があり、平均24時間10分程度であることがわかっています。24時間に近い人は、毎日同じ時刻に眠くなって、目覚ましなしでも簡単に起きられます。ボディクロックが長めの人は、夜更かしが得意なので、気をつけないと、すぐに夜型に傾いてしまいます。このタイプは、朝日&朝食、夕方以降は照明を暗めにして、早めの就寝を心がけましょう。
さらに、人間のボディクロックの長さを、毛髪で測定する技術も開発されてきています。髪の毛を抜いたときに根元についてくる白い部分の毛包細胞から、時計遺伝子の活性を測定してわかるのだそう。近い将来、ボディクロックが長めの人は交代勤務、短い人は日勤にするなど、勤務形態にも反映させられるようになってくると思います。
ボディクロック研究会のホームページでは、新しく開発された『3D睡眠診断』が公開されていて、アンケートに答えていくと、睡眠の「位相(ボディクロック)」「質」「量」の3つの観点からアドバイスが受けられます。
まずは今の睡眠状態を知り、ボディクロックを味方につけて、パフォーマンスを高めて行きましょう!
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