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61. 関取の布団、子どもの枕

  • 執筆者の写真: 三橋美穂
    三橋美穂
  • 2021年2月2日
  • 読了時間: 4分

(2013/12/01)



10月下旬の九州場所前に、ある関取から寝具の相談を受けました。体重170kgを超える巨漢のため、自分自身の重みで身体が圧迫されて、痛みで何度も目が覚めてしまうのだそうです。最近流行の硬めの高反発マットレスを使い始めたら、以前よりも痛みが悪化。集中力も途切れがちで、何とか睡眠を改善したいという切実な悩みでした。

高反発は筋肉質のアスリートには向いていますが、関取ほどの体型だと、適度な柔らかさで体圧を分散する必要もあると思いました。いろいろ考えを巡らせて、高反発マットの上に、柔らかくて適度な反発力と通気性を兼ね備えた中反発マットを重ねるという方法を提案。下層でしっかり支え、上層で体圧を分散させることで、大きな身体を安定させようと考えました。

この組み合わせはバッチリ決まり、痛みは解消され、ぐっすり眠れるようになったそう。その結果、九州場所では素晴らしい成績を残すことができました。

敷き寝具は、体型によってフィットする硬さが違います。一般的には、がっちり体型の人は硬め、スリムな人は柔らかめ、中間的な人は中くらいの硬さが合います。ただし、これまで使ってきた寝具の硬さも影響するので、スリムな人でも硬めに落ち着くケースがあります。事実、以前の私は硬めが好きで、背筋がスッと伸びる感覚を気持ちよく感じていました。

でも、ここ2~3年、目覚めたときに感じる肩の痛みが気になっていました。私はとても低い枕を使っているので、横向きになったときに、肩が圧迫されるのです。以前は感じなかったのですが、多分身体の柔軟性が落ちてきたのでしょう。そこで、今までの寝具に柔らかいトッパーを敷いたら、快適に眠れるようになりました。好みや快適性は、変化するものだと感じます。

枕もそうで、一つピッタリなものを選んだら、ずっとそれが快適なのではなく、その時々で変わります。例えば、整体を受けた後は背筋が伸びるので、枕はいつもより低めが快適に感じます。疲れているときは前傾姿勢になるので、枕は少し高めがフィットします。季節によっても快適な素材が違うので、枕は3つくらい持つことを提案しています。

枕は高さだけでなく、首から後頭部にかけてのラインが、ピッタリと合っていることも大切。首に当たる幅が長すぎたり、盛り上がりが強すぎて、部分的に圧迫されていると、首や肩が凝ってしまいます。

先日、小学4年生男児の枕をアドバイスする機会がありました。朝起きると背中や腰が痛く、首や肩が凝るといいます。普段使っている枕を持参してもらったら、低めの大人用枕を使っていました。

低めとはいっても、身長140cm足らずの子どもにとっては非常に高く、そのうえ枕の中央が盛り上がっています。後頭部が持ち上がって顎が下がり、首筋や肩に負担がかかっていました。その影響が背中まできていたのでしょう。選んだのは子ども用の枕で、高さ調整シートを抜いた状態。とっても薄い枕を見て、「こんなに低くていいんですね」と、お母さんが驚いていました。

私が小学生の頃も、大人の枕を使っていたような気がしますが、肩こりに悩んでいた記憶はありません。今の子どもたちは外遊びが少なくなって、勉強やゲームなどで前傾姿勢が増え、重い頭を支えるために、首・肩・背中が凝っているのでしょう。せめて睡眠中は楽な姿勢で、自由な寝返りができると、症状が緩和されます。大人の枕を使って、睡眠中まで前傾姿勢になっていると、猫背を助長することにもつながるので気をつけてください。

このとき、お母さん自身も、自分の枕を持参されました。複雑な構造で、一見工夫されているように見えるのですが、スリムな女性にとっては高すぎます。首のパーツしか高さ調整ができず、機能的とはいえません。裁縫をされるというので、今ある材料を使って、自分に合う枕に作り替える方法を伝えたら、「こんな方法があるとは、目から鱗です!」と喜びのメールをいただきました。

「高さ調整シートつき」、「ファスナーを開けて中身を取り出せる」など、工夫されている枕は増えてきましたが、最初は専門家のアドバイスを受けるのが早いと思います。品揃えが豊富なお店で、相談してみてください。


 
 
 

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