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執筆者の写真三橋美穂

53. エネルギーを自分に戻す

(2013/04/01)



米国の著作家ニール・ドナルド・ウォルシュ著の世界的ベストセラー、『神との対話』をご存知ですか? 人生に行き詰った40代後半のニールという男性(著者)が、神にあてて自分の怒りや失望をノートに書きなぐったところ、神の言葉が自動的にノートに書き始められ、その対話を記録した本です。

生きることや人生について、ニールからの質問に対して、神が答えるという形で話は進行していきます。


例えば、

人間を創ったのは神だと言われていますが、その人間のどんなところに驚いていますか

とニール。 神はこう答えます。

子どものときは、子どもでいることに退屈になって、急いで大人になってしまい、大人になったら、あの頃はよかったなと、子どもに戻りたいと願うこと。  お金持ちになるために健康を失い、そして健康な身体を取り戻すために、そのお金を失うこと。 決して死ぬことがないかのように生き、そして死ぬときは、あたかも生きていなかったかのように、死んでしまうこと。

答えているのが本当に神かどうかはわかりませんが、ここに出てくる神は、実に論理的で、ユーモアがあります。そして答えは、いつもシンプル。

今回読み直した中で、自分に入ってきた言葉がこちらです。

すべての人間関係の目的は、相手が何を望むか、何を必要とするかだけではなく、あなたが成長し、ほんとうの自分になるためには、自分自身が何を望んでいるかを知ることだ。そのために、わたしは他者との関係を創造した。

これを読んで、ある出来事を思い出しました。先月仕事で伺った、こども医療センターでのエピソードです。

看護師さん向けのセミナーを依頼されたのですが、事前にホームページを拝見したら、このセンターは重度の疾患や障害をもつお子さんたちが多く、 ボランティアの方たちのサポートが、たくさん入っていることがわかりました。そして、寄付の案内も載っていたので、講演料の一部を寄付しようと決めました。

私が寄付の旨を申し出ると、とても喜んでいただけて、私自身も歓びに満たされながら帰宅しました。その自分を観察していたら、この歓びは先方に感謝されたからだけではなく、「寄付をする」という行動が自然にとれた自分自身に歓びがあるのと気がつきました。

実は先日、ある友人と話をしていたら、彼女が高齢者施設でマッサージのボランティアをしていることに、やりがいを感じないと話し始めました。詳しく聞いてみると、施設の人たちからの感謝が薄いと彼女は感じていて、「私はこんなにやってあげているのに」と、不満の感情が湧きあがっていたのです。

これはよく陥りがちな反応ですが、こういうときこそ、どういう自分としてボランティアをやりたいのか、そこに立ち戻ってみたらどうでしょう。分かちあい、支え合あう世界であることを願う、自己表現の機会としてのボランティアであれば、相手の反応は気にならなくなると思います。感謝されたら、もちろん嬉しいでしょうが、感謝されなくても、パワーを失うことはありません。自分自身がやりたくて、やっているのですから。

仮に失望の感情が出てきたとしても、今はそう反応している自分なのだと、静かにその自分を慈しみ、次の機会に、私は誰でありたいのかと自問して、 前に進めばいいと思います。神も「そのために、わたしは他者との関係を創造した。」と言っていますから。

相手の反応が自分の思う通りではないことから葛藤は生まれますが、相手の反応に焦点を当てているのを、自分に戻して、自分はどうありたいか問い直す。これが成長の階段を上がり続ける、人生のプロセスなのだと思います。大いなる自分に向かって成長していくためには、きっかけが必要ですから。

相手に向けているエネルギーが自分に戻れば、いつも満たされていて、ぐっすり熟睡できるでしょう。私も練習途上ですから、一緒に取り組んでいきましょう。

そして先のセミナーで、看護師さんたちの勤務表を見て、頻繁に変わる勤務時間に驚きました。それに合わせて生活しながら、命を守る現場で働く看護師さんたちには、本当に頭が下がります。マンパワーが必要不可欠な医療現場には人を増やし、工場やコンビニの夜間操業は停止したらいいと、私は思っています。睡眠障害は減り、人間らしく生きることができるようになるからです。

お金が適切に循環する経済システムを構築し、世界の人の働き方とお金の配分が変わる新しい時代の到来を、私は望んでいます。

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