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執筆者の写真三橋美穂

28. ポジティブシンキングの罠

(2011/03/01)



キャリアウーマンとしてバリバリ仕事をこなしている30代の女性から、寝つきが悪くて眠りも浅く、夜中に何度も目を覚ますと相談を受けました。翌日の仕事のことや、将来のことを考えると、睡眠中でも神経が張りつめているようです。

彼女と話しながら気がついたことがありました。話している内容は前向きなのですが、どうも本当の感情を押し殺しているようなのです。 例えば、本心では「嫌な人だ」と思っている人であっても、この人にもいいところはあるのだから、そのいいところを見るようにしよう。 気の進まない仕事であっても、目の前に現れたということは何か意味があるはずだから、精一杯がんばろう。 仕事の評価が低く、本当は不満でいっぱいなのに、次は認めてもらえるように、自分が頑張ればいいんだ! というように、ネガティブな思考が出てきたときに、ポジティブな思考に置き換えるクセが染みついています。

ポジティブシンキングは、最初「なるほど!」と思ってやってみると、上手く行くという特徴があります。でも、これがやり方になって左脳で考え始めたら、機能しなくなります。過去に上手く行ったからと、どんな出来事もポジティブにとらえてみようとすると、だんだん自分の本当の感情が埋め込まれてしまうからです。

「本当は嫌なのに、不満なのに」という、表現されないネガティブな感情が解放されずに、自分の中でいっぱいになってしまいます。ポジティブに考えなくてはいけないという習慣が、気付かないうちに、あなたにプレッシャーを与えています。

私自身もポジティブシンキングがいいことだと思って、そのことがストレスになっていることに気づかない時期がありました。その時は、朝起きるのが辛く、休日はほとんど寝ているような日々で、精神的に追い詰められているという状態でした。

嫌だ、欲しくないという感情が出てきたときは、まず、その自分の感情を大切に扱いましょう。

「あ~、嫌だと感じている自分がいるんだなぁ」 「辛いと感じている自分なんだなぁ」

そんな感情を持っている自分を慈しみながら、眠りに入りましょう。

本当に辛く、嫌だと感じている対象は、起きている出来事や相手ではなく、その状況を扱いきれない自分自身にあるからです。 眠りに入るとき、自分の体が光で満たされているイメージをしながら、あなた自身に愛を注ぎましょう。

自分への承認が芽生え始めたら、自然にあなたの可能性が発揮されるようになっているでしょう。

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