(2010/04/01)
私は先日、売りに出されていた築8年の中古マンションを見に行きました。そこは新築時にも気になっていたデザイナーズマンションで、リビングの天井と窓の開口部が高くて解放感があり、それなのに価格は意外とリーズナブルだったので、印象に残っていました。
見に行ったら、ご夫婦と小さなお子さん2人の4人家族で住んでいたのですが、部屋の中は非常に雑然としていました。キッチンのレンジフードや階段、浴室、電球の熱で黒くなっている壁や、剥がれた床などの汚さが目立ちます。設計の良し悪しやデザイン云々というより、その場の醸し出す雰囲気のよどんだ空気を感じて、買いたいという気持ちにはなりませんでした。
不動産屋の人と別れるときに、「ちなみに、新築時の分譲価格はいくらだったんですか?」と聞いたら、その答えに驚きました。中古で売りに出されていた価格は、分譲時より高かったからです。
8年間も雑な使い方をして、設備も古く、何の手入れもなしで、部屋を愛することもなく、無意識そのもの。粗末な使い方をした部屋なのに、買った時より高く売るつもりでいるなんて・・・。
その時、売りに出されていたものが、どういう状態であったら、私は高いお金を払ってでも、喜んで買いたいと思っただろうかと考えてみました。
住んでいる人がクリアーな人で、このスペースを愛していて、きちんと手入れがされている。そして、その人たちの在り方が染み込んで、いい磁場ができている。モノとしてのマンションそのものの価値、プラス、そのマンションに「新しく派生した質」がともなっていたら、分譲時より高くても買っていたかもしれません。
そして、これからは、そういう時代になっていくだろうとも思いました。
これまで私たちは、設備や仕様、デザイン、新しさなど、外側の目に見えるものに価値があるとして、お金を払ってきました。これからは目に見えない「質」にも価値を見出す時代です。一見、人間の目には見えない何か(エネルギー)に、価値を見出し、お金を払い、人は行動するようになるでしょう。
眠っているときの人間(寝たきりの人も含めて)の質を見てみると、一見何もしていないように見えますが、実は個人としての肉体を超えて意識が拡大している貴重な時間です。意識の拡大から得られる、自分と他人との分離や、ぶつかり合いのない体験をしているのが睡眠なのです。
この眠りの真髄が持つ、見えない価値に人々が気づき始めたとき、お互いを尊重し、意識の融合からくる、豊かな世界が生まれるのでしょう。
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