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執筆者の写真三橋美穂

151. 環境負荷を減らすマットレスの選び方

(2021/06/01)



日本の可燃ごみの約半分は「生ごみ」だと、みなさんはご存知でしょうか?



日本は全ごみ量のうち78%を焼却しており、これは世界のワースト1。CO2削減と環境保全のためにも、ごみの全体量を減らすことが大きな課題となっています。



私は2か月前から、自宅のベランダでコンポストを始めました。

「LFCコンポスト」というバッグ型のおしゃれで機能的な製品で、生ごみを投入すると徐々に発酵が進んで堆肥になります。



コンポストには以前から興味がありましたが、臭いや虫の問題があったり、そもそも出来た堆肥の使い道が明確でなかったため、始めるのを躊躇していました。でもようやく、堆肥の使い道が見えてきたので、思い切ってチャレンジすることに。



2か月間続けて感じたのは、基材の中に生ごみを投入し続けても量が増えない不思議さ。微生物によって分解されていくからです。また、ミカンやリンゴの皮を入れると爽やかな香りに変化したり、バッグが温かくなって分解が進んでいるのを肌で感じたりと、新しい体験にワクワクしている自分がいます。ごみの量が目に見えて減ったことも、喜びでした。



こうして環境への意識が強くなるにつれ、気になってくるのは、マットレスの廃棄処分のこと。マットレスは寝具の中でも大きいので、上手に処分しないと多大な環境負荷につながります。



とくにポケットコイルマットレスは分別が難しく、円筒形のコイルと、それを包んでいる不織布を、手作業で分解していかなければなりません。自治体によっては、有料でも引き取ってくれない地域があるほどです。



マットレスを購入するときには寝心地のよさだけでなく、どのように廃棄されるかまで、使う側も考えていく必要がある時代だと感じます。



マットレスは大きく分けて、土台となるコイルまたはウレタンなどを使った下層部分と、上層のクッション部分を組み合わせて、一つの製品にしています。このうち上層の劣化(へたり)が早いので、そこだけ取り換えられるような商品開発が、作る側には求められてくるでしょう。



パーツ交換だと売上が減るので、積極的に行うメーカーは皆無でしたが、これから地球と人間が共存していくために、避けて通ることはできません。SDGs-12番目の目標「つくる責任、つかう責任」への取り組みです。



そのような製品が市場にない現在、おすすめは2つに分けて考え、それぞれを購入することです。



具体的には、コイルがしっかりしていてクッション層が薄い厚さ15~20cm程度の「かためのマットレス」を土台用として購入します。クッション層が薄くてコイルが丈夫なら、へたりにくいからです。通常のマットレスの耐久年数は7~10年程度ですが、この「かためのマットレス」は20~30年使うことを意図しています。



厚み5cmくらいのトッパーをクッション層用として購入し、上に重ねて使います。トッパーは「マットレスパッド」「オーバーレイマットレス」とも呼ばれ、低反発のトゥルースリーパー、高反発のムアツ・エアウィーヴなどが有名です。もちろん、ほかのものでも構いません。



このトッパーがへたってきたり、好みが合わなくなったら、そこだけ買い替えるのが、合理的で環境負荷も少ないので、今のところいい方法だと思います。2つを重ねた寝心地をイメージするのは難しいかもしれませんが、一つの方法として覚えておいてください。



先日、マイクロビーズクッションに関する悲惨な記事を、ニュースサイトで目にしました。燃えるゴミとして出したところ、清掃車の圧縮板で破裂して、車両や道路に小さな発砲ビーズが散乱し、臨時の清掃車を呼ばないといけないほどの惨事になったそうです。



マイクロビーズは独特の柔らかさが人気で、枕にも使われている素材です。このようなリスクを生まないように、感触のよさだけで安易に使わないようにしようと思いました。



これからの商品開発は、リサイクルしやすい素材や構造が前提条件になり、それに取り組んでいる企業が人々に評価されていくでしょう。私はコンサルティングに携わっている企業も多いので、環境に配慮したモノづくりを提案していきたいと思っています。

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