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執筆者の写真三橋美穂

144. 一人ひとりの意識と行動が世界を変える

(2020/11/01)



オリエンタルラジオの中田敦彦さんが、最近ヴィーガンになったことを知りました。人は社会問題に意識が向くと、そういう選択をするのだなと思った出来事でした。


ヴィーガンとは、肉・魚・卵・乳製品など動物性食品を摂らない完全菜食者で、衣類や日用品なども動物から搾取しないことを選択するライフスタイルをいいます。


中田さんは「中田敦彦のYouTube大学」という教育系のYouTubeチャンネルが人気で、歴史や政治、経済、社会問題などを、端的にわかりやすく解説しています。彼は2カ月前に「気候変動」をテーマにした動画をアップしていて、それがヴィーガンになるきっかけだったのではないかと思いました。

実は私も先月、気候変動に関する動画を見て、地球温暖化の原因の一つに工業型畜産があることを知り、ヴィーガンという選択肢が頭に浮かびました。とりあえずお肉はやめて、徐々に切り替えて行こうと考えているところです。


私が視聴したのは、環境活動家の谷口たかひささんの動画で、もともとドイツでビジネスをしていた青年です。ヨーロッパでは「気候危機」が毎日のトップニュースとして扱われており、地球温暖化問題に触れ続ける中で、その危機的状況を食い止めるべく、情報が少ない日本を中心に1年前から講演活動を始めました。


シリアスな状況を伝えて、ただ人々の不安を煽るのではなく、その先に希望があるのだという揺るぎない彼の在り方に感動して、惹き込まれるように2時間の動画を集中して見ている私がいました。彼の存在から、希望という光が放射されているような感覚でした。


彼の話から、私は気候変動問題の全体像をつかむことができました。北極の氷が解けているのも、オーストラリアの森林火災も、インドで巨大バッタが大量発生しているのも、それがなぜかという理解が深まり、気候変動はもう一刻の猶予もない喫緊の課題なのだと認識しました。それと同時に、一人ひとりの意識と行動が、世界を変える力となるのだと、希望を持つことができました。


<今、起きていること>

●2019年7月 ドイツは42.6度、フランス46度を記録。ヨーロッパでは熱波で7万人以上が死亡。

●2020年2月 南極は20度を上回り、9日間で雪や氷が4分の1溶けた。

●2020年8月 北極は38度を記録し、1日に125億トンの氷が溶けた。

●2020年8月 カリフォルニアでは54.4度を記録。森林火災が発生し、東京都9個分の面積が焼失した。

●アフリカ大陸の南、インド、オーストラリア、アメリカ、中国など、世界各地で干ばつが発生し、食料や水不足が起きている。

生態系の変化が起こり、巨大バッタが大量発生。米や麦、トマトを食べて、世界中の農作地を壊滅させている。このままいくと人類が食糧危機に陥ると、国連が非常事態を宣言。

●ユーカリは乾燥した状態で気温が40度を超えると自然発火することがある。オーストラリアは森林火災で2千以上の家屋と30億匹の野生動物が焼死した。

●一方、アマゾンの森林火災は人が火をつけている。牛を飼育するためには、食料となるトウモロコシや大豆を育てる広大な農地が必要だから。世界で飢えている人が8億人いる中で、牛が消費する飼料は人間400億人分。地球上の哺乳類6500種類のうち「人間36%、畜産動物60%、野生動物4%」という、いびつな割合。

熱帯雨林を守る事は気候変動を止めるうえで、今一番やらなければいけないことだと、ヨーロッパでは学校教育の一環として習うそうです。1秒間にテニスコート15個分の熱帯雨林がなくなっている主な原因が、自分が食べている牛肉だと知ると、ベジタリアンを選択する子どもたちも多いといいます。


この1年間でヨーロッパだけでヴィーガン人口は1億人になり、ドイツでは7人に1人がヴィーガン、スウェーデンでは30歳以下の5人に1人がヴィーガンだそうです。今年のアカデミー賞授賞式で提供された料理はヴィーガンフードで、肉食を減らすライフスタイルは、世界的な潮流となっています。

気候危機の根本的な問題は、大きく分けて「人の意識」と「システム」の2つにあると、谷口さんは指摘しています。


「人の意識」とは、強欲と無関心によって、地球資源を浪費していることを指しています。 日本では、食品ロスを処理するのに毎年1兆円の税金が使われているそうです。また1年間の衣服の廃棄量は100万トン。大量生産、大量消費、使い捨てによって、日本は地球3つ分の資源を使っているのが現状です。1年間に使っている資源の量を、1年間で回復する資源の量に減らして行く必要があります。


「システム」とは、お金の仕組みのこと。 お金で交換できるすべてのものは時間とともに価値が減っていくのに、お金だけ価値が減らないことで、人間がお金を絶対的なものにしてしまった。本来お金はただの交換ツールのはずなのに、お金に振り回されて、人間の強欲と地球環境への無関心を引き起こしていると、彼はいいます。


ドイツのキームガウという街では、時間とともに価値が減っていくお金(減価貨幣)を導入し、その実例を示しながら、お金の仕組みを見直すタイミングに来ていると、谷口さん。減価貨幣については、私も以前、友人から聞いたことがあり、興味を持っていました。

では、気候危機をどうすれば脱することができるのか。 一人一人が取り組むことは、シンプルです。

1、ゴミを減らす 2、電気の無駄遣いをしない、再生可能エネルギーに切り替える 3、公共交通機関を使う 4、肉、乳製品を減らす 5、政府・企業・メディアを選ぶ

細かい事の積み重ねで今の問題が起きているので、同じものを選び続けている限りは問題はさらに悪化していく。自分の選択の上に今の世界が成り立っているのだから、自分が変われば世界が変わる、と谷口さん。 自分には世界を変えられる力があるのだと、勇気づけられました。


ピンチはチャンスといいますが、気候危機に立ち向かうことは、人類が分断をやめ、協力し合う人類史最高のチャンス! 実際にアフリカでは、豪雨や干ばつの影響を受けて、人が争っている場合ではないと、みんなで協力しあっているそうです。


私が発信しているメッセージ、 「世界が平和でないと、心から安心して眠ることはできない」 「社会の仕組みが変わらなければ、必要十分な睡眠時間をとることはできない」

気候危機に人類が一丸となって取り組むことで、これが可能になるイメージが沸いてきました。


「世界が平和だと、心から安心して眠ることができる」 「社会の仕組みが変わると、必要十分な睡眠時間をとることができる」

谷口さんの言葉にはパワーがあり、より伝わってきますので、ぜひ動画をご覧ください。とくに「義務と権利」「自分軸」のくだりは必見です。



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