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執筆者の写真三橋美穂

132. 対立・分断から、統合・共生へ

(2019/11/01)



今夏、トルコの最大都市イスタンブールと、首都アンカラの市長選で、最大野党の共和人民党(CHP)がエルドアン大統領率いる政権与党公正発展党(AKP)に勝利したことをご存知でしょうか。これを日本で例えるなら、東京と大阪で、万年野党が自民党に勝利したようなもの。盤石な基盤に亀裂が生じたのです。

この選挙キャンペーンのモットーは、

強権化しているエルドアン大統領は無視する。 そして彼を愛している支持者たちを愛する。

だったそうです。名付けて、”過激な愛” 作戦。

エルドアン氏は、独立系ジャーナリストを投獄したり、野党CHP全体をテロリストとして糾弾するなど、その言葉の攻撃や独裁ぶりはすさまじかったそう。そこでCHPは、敵を非難し、味方を固めるエルドアン氏の手法を逆手に取りました。

今回、イスタンブール市長選に勝利したCHPのエクレム・イマモール氏は、こう言っています。

私たちはお互い争うことに疲れています。だから舞台を降り、観客席にいる彼の支持者を愛するよう努めました。愛されたくない人はいないから。

トルコの有権者たちは生まれて初めて、投票しようと思ったことがない政党の政治家に、抱擁されているという体験をしたそうです。

【CHPが選挙運動員に示した有権者との接し方】   (2019年7月28日付 朝日新聞DEGITALより)

1、挑発に乗らない、口論をしない

2、概念的でなく具体的な話をする

3、政治的立場でなく、具体的な話であなた自身を紹介する

4、自分が話すより相手の話を聞く

5、侮辱しない

6、嫌みを言わない

7、上から目線で話さない

8、「自分は知っている」という態度をとらない

9、笑顔

10、「人民の党」であることを忘れない

(CHP党員向けパンフ「過激な愛の本」から)

これは非常に示唆に富んだ内容です。凡人は、自分と同意見の人たちでまとまり、意見が異なる人を排除しますが、世界を変える非凡な人は、意見の違いを認めたうえで、相手を含み、解決策を見出そうとします。私もこうありたいと思いました。

このモットーを知って頭に浮かんできたのは、れいわ新選組の山本太郎代表です。 ヤジを飛ばす人に、「そんなあなたも幸せにしたい」と言い、 偽善者と罵る人に、 「裕福じゃない人同士で石を投げ合って、どうするんですか。  分断に加わって、どうするんですか」と熱い涙を流す。


立場が弱い人に寄り添い、アンチの意見にも誠実に耳を傾け、情熱をもって行動する彼には、CHPに通ずる「過激な愛」を感じます。

CHPは選挙後にこう言っています。

壁は愛によって取り払うことができることを、私たちは示しました。

これまで約2000年間続いたうお座の時代は、個を育てるため、自他が分離していて競争社会でした。これからのアクエリアス時代は、自他が一つであることを体験する「統合・共生」の時代です。

世界中の指導者たちや、私たち一人一人が、多様性を受け入れる寛容な在り方から行動すれば、あっという間に世界は変わるのではないかと思うのです。トルコのCHPや、れいわ新選組のような兆候が、世界中に現れているのですから。

日々の暮らしに追われ、睡眠負債を抱える人が多い現代、誰もが十分に睡眠をとれるようになるには、新しい経済システムなど社会のしくみを構築し直すことが必須。政治が果たす役割は大きなものです。これからも新時代にマッチした動きをウォッチしていきたいと思います。

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