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執筆者の写真三橋美穂

123. 外なる音を遮って、内なる音に耳を澄ます

(2019/02/01)



寝る時のパートナーのいびきや車の騒音が気になって、眠れないことはありませんか? そんなときは、耳栓を使うのがおすすめです。実は私も、1か月ほど前から寝る時に「耳栓」を使い始めました。初日はその効果に驚き、目覚めた時に「こんなにぐっすり眠れたのは初めてかも…」と思ったほどです。

私の寝室は大きな騒音は聞こえませんが、加湿器や空気清浄機の運転音がありました。それが耳栓によって遮断されただけで、睡眠感にずいぶん違いがあると実感しています。睡眠中にも脳の聴覚中枢は働いているので、雑音が軽減されると、脳は余分な情報処理をしないですむため、熟睡できるのではないかと思っています。

私たちは、つねに騒音や雑音にさらされていて、思いのほか耳は疲れています。 <騒音レベルの目安> ・洗濯機や掃除機  約70dB ・地下鉄や電車の車内 約80dB ・自動車の騒音 約85dB ・工事現場、カラオケ店内 約90dB ・ライブハウス、地下鉄構内 約100dB ・車のクラクション 約110dB

WHO(世界保健機関)では、85dB(デシベル)の音を8時間以上、100dBの音を15分以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。耳から入った音は、鼓膜の奥にある蝸牛の有毛細胞で、音の波による振動を電気信号に変換し、脳に伝えています。大きな音に長時間さらされていると、有毛細胞が壊れて難聴になってしまうのだそうです。

都会で暮らしていると、騒音が当たり前すぎて、音のストレスを感じている自覚がありませんでした。大自然の中でリラックスできるのは、空気の清らかさや、木漏れ日やそよ風の心地よさだけでなく、耳も癒されているのかもしれません。

耳栓をつけて入眠時に感じたことは、雑音がなくなることで、自分の呼吸や鼓動の音に自然に意識が向くということです。

鼻を通る空気の流れ、 鼻の奥がひんやりする感覚、 喉を空気が通るときの微細な震え、 そして、ドクンドクンと響く心臓の鼓動。

体の外側の音が聴こえないことで、体の内側の音が際立ち、その音に意識を向けていると自分の思考が静かになり、いつの間にか眠っています。耳栓は、一日の中で、静けさの中に身を置く豊かな時間を、私にプレゼントしてくれました。

耳栓は、自分の耳のサイズに合ったものを選ぶことが大切です。様々なサイズがアソートされているお試しセットも販売されていますので、自分にぴったりのサイズを見つけてみてください。

耳栓の種類は、柔らかいスポンジを使った「フォームタイプ」、傘を縦に連ねたような形の「フランジタイプ」、粘土のように柔らかいシリコン使った「シリコン粘土タイプ」などがあります。耳のサイズや感触の好みは人によって違うので、何種類か試してみてください。私は8種類ほど試しましたが、もっと試してみたいと思うほど、今はハマっています。

耳栓をして寝ると「目覚まし時計の音が聞こえないのでは?」と心配になるかもしれませんが、耳栓をしても無音になるわけではありません。ただし音の聴こえ方は小さくなるので、耳栓をした状態でもハッキリ聴こえる音量に設定し直してください。

そして装着するときは、耳の中や耳栓を清潔に保つように心がけてください。洗えないタイプは、消耗品と思ったほうがいいでしょう。使い始める前には、各商品の使い方や手入れ方法、使用上の注意を確認してください。

睡眠中は40dB 以下の静かな環境を作ることが大切です。パートナーのいびきが気になる人や、聴覚過敏な人、交代勤務で昼間眠る場合の生活音が気になる人、深くぐっすり眠りたい人は、一度耳栓を試してみてください。呼吸や鼓動に耳を澄まして、頭の静けさを感じながら、眠りにつきましょう。


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