(2017/08/01)
先月、仕事で中国に行ってきました。上海市内を歩いていると、いたるところでシェアリング用の自転車が目にとまります。自転車のQRコードをスマホで読み取って、支払いはアプリで済ませるそうで、通訳の女性は、「私たちは自転車や洋服は買わない」と言っていました。30代前半の彼女は、洋服も月額制のレンタルサービスを利用しているそうです。
しかも彼女はその時、現金もクレジットカードも持っておらず、支払いはすべてスマホで済ませていました。1回だけ現金が必要なシーンがあったとき、彼女は近くにいた若者に話しかけると、スマホをかざし、自分の電子マネーを彼に送って、現金と交換していたのです! その軽さと自由さに驚き、近い将来の経済社会のしくみを垣間見た瞬間でした。
インターネットとスマホの普及によって急速に広がっているのが、シェアリング(共有・分かち合い)サービスです。
総務省の定義はこうです。 「個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸し出しを仲介するサービス」
一般社団法人シェアリングエコノミー協会による <シェアリングサービスのジャンル> 1 移動…カーシェア・ライドシェア
2 空間…ホームシェア・駐車場・会議室
3 モノ…レンタルサービス・フリマ
4 スキル…家事代行・知識・料理・介護・育児
5 お金…クラウドファンディング どれも聞いたことがありますよね。
シェアリングサービスの特長は、社会問題の解決にもつながっていることです。たとえば、ライドシェアは渋滞解消やCO2削減に貢献しています。アクエリアス時代のキーワード「分かち合い」にマッチしているシェアリングサービスは、急速に拡大していくでしょう。
そしてもう一つ、最近、私が感動した動画があります。経済学者で慶応大学教授の井出英策氏の情熱的なスピーチです。
井出教授は、将来への不安を取り除けるような分かち合い(現物給付のベーシックインカム)を提唱している方で、動画の要点はこうです。 ・共働きが増えたのに、世帯収入はこの20年間で2割減 ・年収300万円以下世帯は34%、家計貯蓄率はほぼゼロ ・国民の9割は老後に不安を感じている
・現在の日本は弱者を見捨てる「格差放置社会」 ・弱者に対する優しさが失われ、追い詰められた弱者が、 さらに弱い人たちを痛めつけ差別するのが、今の日本社会
・このようなみすぼらしい社会を子どもたちに残すわけにはいかない ・人間同士が分断され、生きることが苦痛と感じる社会を、 子どもたちに残すわけには絶対にいかない!
・経済を成長させて、所得を増やして、貯蓄で安心を生む 自己責任モデルは、もう破たんしている ・分かち合い、満たし合いの財政にしていく ・貧しい人だけでなく、あらゆる人々の生活を保障していく
・期待できない経済成長に依存するのではなく、 将来の不安を取り除ける、新しい社会モデルが必要 ・不安に怯える国民が待ち望んでいるのは、このパラダイムシフト ・勇気ある一歩、発想の大転換が必要
別のインタビューでは、具体的な方策も示していて、それは新時代にマッチした財政のシェアリングでした。こうした動きが目に見えるようになってきて、社会が大きく変わろうとしているのを実感します。
あらゆる人々の生活が保障されている社会、切り捨てられる不安のない社会になれば、私たちは自然体でいられ、ぐっすり眠れます。大きな転換期の今に生きている光栄さを味わいながら、そして、世界中の人たちの幸せを願いながら、今夜も眠りにつきたいと思います。
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